フレンドリー・ペアレント・ルールってどんなルール?

日本では離婚したとき、どちらか一方の親が親権を持つ「単独親権」が民法で定められています。
では、どちらの親に親権を持たせるのがよいのでしょう。このフレンドリーペアレントルールとは、「他方の親と友好的(フレンドリー)な関係を築くことができる親を親権者にする」という判断基準のことです。
具体的には
・他方の親との面会交流に協力できる
・子どもに他方の親のことを悪口を言ったりせず肯定的に伝えることができる
・他方の親に対して寛容になれる
といったことができる方を親権者とするというルールです。

日本における親権を決める基準

現在、日本ではどんな基準で親権が決まっているかというと、子供と一緒に暮らしていて子供の世話をしている期間が長い方、そして母親側に親権が認められるケースが多いのが現状です。
たとえ、母親が父親に断りなく突然子供を連れて出て行き、何年も子供を会わせていなかったとしても母親側に親権が認められるということです。
こういった現状により、子供にまったく会えず辛い思いをされている父親が数多くいることがあまり知られていないのも事実です。

離婚の理由はさまざまですから、子供を父親に会わせたくない理由や会わせられない理由があるかもしれません。双方の思いをきちんと汲み取らなければ一概に良し悪しを言うことはできませんが、実際のところ「連れ去ったもの勝ち」これが日本の現状なのです。

面会年100回認める別居父親に親権判決@千葉家裁

この判決は2016年3月のことです。
ある妻は夫に無断で娘を連れ去り実家に戻り、5年半もの間、夫と娘を一度も会わせていませんでした。夫は突然の別離から面会交流が一切叶わず、調停と裁判を繰り返してきました。

妻は離婚を求めていて「慣れ親しんだ環境から娘を引き離すのは福祉に反する」と主張し、夫と娘との面会交流の頻度を「月1回」と提案しました。
かたや夫は、妻と娘の面会交流計画を「年間100日程度」提案していました。

娘と一緒に暮らしていた期間が長い妻側か、妻との面会交流に寛容な夫側か、判決ではどちらに親権が与えられたでしょう。
判決は、夫側に親権が与えられ、娘を夫に引き渡すよう命じました。
娘の成長を支えるためにはより多くの面会日数を提案した夫の方が親権者にふさわしいと判断されたのです。まさに「フレンドリー・ペアレント・ルール」が採用されたおそらく初めての判決となりました。

この判決、どのように思われますか

みなさんはこの判決、どのように思われましたか。お母さんかわいそう、お父さんよくやった、お子さんはどう思ってるの?など各々の立場に対する思いがあるでしょう。

寛容な父親に軍配をあげた裁判官に粋な計らいを感じるとともに、同様に子どもと引き裂かれてしまった親御さんにとっては画期的で今後に勇気をもてる判決ともいえますね。
かたや母親の胸中を思うと同じ母親としては切ないところですが、子どものためにも面会交流の機会を数多くつくっておけばこんなことにならずに済んだのにと思わないではいられません。

そしてなにより、母親に頻繁に会えるとはいえ、判決により生活環境が激変する子どもの心のケアは継続的になされるのでしょうか。子どもはおもちゃではありません。親のエゴや司法に振り回されることは決してあってはならないことです。

現在、この裁判は控訴中。父親、母親、そして裁判官が子どもの気持ちをどのように反映させていくのか目が離せませんね。

この記事を作成したキュレーター

離婚・面会交流コンサルタント しばはし聡子

大学時代は法律を学び、エネルギー業界で広報・秘書業務に従事。
結婚・出産を経て、仕事も家庭も育児も順風満帆!のはずが、40歳でまさかの離婚。現在、シングルワーキングマザーです。
自身の離婚経験を生かし、同...

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