離婚調停や離婚裁判で通用する浮気の証拠とは?
結婚している人が浮気をして配偶者以外の者と性的関係をもつことを、法的には「不貞行為」といいます。これは夫婦の貞操義務に違反する行為なので、浮気をされた配偶者は慰謝料を請求することができます。ここでは調停や裁判で「不貞行為」を立証する際に必要な証拠について解説します。
■浮気の証拠はいくつ必要?
浮気による「不貞行為」が原因で離婚する場合、慰謝料の金額は、不貞行為の回数・頻度、期間によって変わってきます。
調停や裁判において有利に立つためには、通常、浮気現場をおさえた決定的な証拠が2回分以上は必要です。「継続的な不貞行為があった」と証明できれば、離婚協議・調停・裁判のいずれも有利に進められるのです。
だからといって、「1回分の証拠ではまったく通用しないか?」といえば、そんなことはありません。
たとえ「出来心でしてしまった、たった一度の過ち」であろうと、浮気は浮気、不貞行為は不貞行為です。
調停や裁判では、婚姻生活の実情や、不貞行為に及んだ経緯、不貞行為が夫婦関係に及ぼした影響、婚姻の継続を期待できるかどうかなど、様々な事情を考慮して、総合的に判断されます。
■浮気現場がラブホテルの場合
相手が言い逃れできない決定的な浮気の証拠となるのは、浮気相手と一緒にラブホテルを出入りしている写真・映像です。撮影日時が表示されていると、さらに説得力を増します。通常探偵事務所であれば、日時と時間は入っているでしょう。
ラブホテルの場合は、何も実際に行為に及んでいる現場をおさえる必要はありません。
「ラブホテルに入った」と聞けば、多くの方が「性行為をした」と同義であると受け取るでしょう。それだけ、ラブホテルという場所は、出入りしただけでも、そう思われても仕方のない場所なのです。
代表的な言い訳として、「相手の体調が悪かったので、介抱していた」「人には聞かれたくない大切な話をしていた」「一緒にカラオケやゲームをしていた」「トイレだけ使った」などがありますが、そのような言い訳は通用しません。
■浮気現場がラブホテル以外の場合
それでは、浮気現場が、アパートやマンションなどの集合住宅、一戸建てなどの場合はどうでしょうか。
この時、疑問に思われるのが、「部屋に何時間滞在したら不貞の証拠になるか?」という点です。
当探偵事務所では、浮気現場が浮気相手の部屋などの場合、「不貞行為の証拠として認められるには、大まかにですが、夜から朝までの6~8時間の滞在が2本は欲しいところですね」とご説明しております。
仮に、部屋での滞在が日中の2~3時間という場合、その出入りを撮影しても、不貞行為の証拠として立証するのは難しいでしょう(その頻度にもよります)。
「パソコンの調子が悪いと言うので直しに行った」「熱帯魚を見せてもらっていた」「テレビの配線を頼まれた」「仕事の悩みを聞いていた」など、様々な言い訳が立ってしまうため、それだけ不貞行為を証明するのが難しいのです。
■ラブホテル以外での不貞行為を証明するためには
一般的に、探偵に調査を依頼すると、「ラブホテルに行ってた」という、不貞行為の確実な証拠がとれない場合は、次のような複数の証拠を集めていきます。
たとえば、
・男女が密室で一晩を明かしているか
・滞在中は二人きりで、他の人間の出入りはないか(子どもは除く。就寝中は不貞が可能であるため)
・定期的に通っているか
・部屋を出入りする際、キスや抱擁などの親密度はどうか
・合鍵を持っているか
など。
これらの証拠の合わせ技で、「不貞行為が行われたであろう」と推認できる証拠にしていきます。
■車内での不貞行為
調査の中で、車内にて不貞行為を行っている現場に遭遇したりします。いわゆる車の中での行為については、車の外観を撮影しても意味がありませんので、車内を撮影することになります。「車が揺れている様子を撮影すればどうですか?」と聞かれますが、車内で相当激しく動かないと、まずわかりません。
この様な現場は大抵が暗いため、また、スモークフィルムを貼ってある車も多いため、暗視カメラや好感度カメラで撮影しますが、場合によっては車のライトを向けて撮影して逃げるという最終手段をとることもございます。
■浮気現場による調査費用の違い
単純に費用だけを比べるなら、ラブホテル通いをしている場合のほうが圧倒的に安く抑えられるでしょう。(当事務の場合)
ラブホテルなら、出入りの写真・映像を2回分おさえればいいのに対して、浮気相手の部屋などの場合は、「まずは部屋番号の割り出し」に時間を割き、その後「定期的に通っていること」を証明するため、調査時間がかさみ、費用にも差が出てくるのです。
探偵事務所の多くは「時間=費用」です。
そう考えると、浮気相手との関係が進み、「ラブホはお金がかかるからアパート借りちゃおうよ」などと親密になる前に浮気調査を開始したほうが得と言えるかもしれません。浮気を疑ったら、早めにプロに相談してみてください。