国際結婚をするという人が多くなっています。

世界中の国の人との交流が容易にできるようになったと言うことが背景にあり、海外の方と知り合う機会が増え、その中で愛情が育まれ、結婚するという事が増えてきました。

ですが、結婚があれば、その逆の離婚もあります。日本人同士の離婚と同じように、国際結婚でも離婚する人は多くなっています。驚くべき事に、年間の国際結婚の数の約4割が離婚しているというデータもあります。

国際結婚数と離婚数の推移

国際結婚数と離婚数の推移

住んでいる国の法律が適用される。

結婚する人の数に比例して、離婚する件数も多くなっていますが、日本人同士の離婚と違って、国籍が違えば適用される法律も違うのです。もし、夫婦のどちらかが日本人で、日本に住居があるという場合には、基本的には、外国人との離婚といっても日本の法律が適用されるようになっています。

「それじゃ、日本人同士の結婚・離婚と同じじゃない!」

と思われるかもしれませんが、国際離婚の場合は、もう1つ必要な事があります。
相手の出身国で、再び離婚の手続きを行わなければいけないと言うことです。
これが必要の無い国もありますが、基本的には、国が違う両者が結婚・離婚する場合には両方の国で手続きを行うと言うことが大切です。

国際結婚をした夫婦が離婚する場合、問題は「どこの国の法律が適用されるのか」ということです。適用する国の法律を「準拠法」と呼び、日本では次の1~3が段階的に適用されます。
1.離婚時の夫婦の本国が同一であれば、その本国法(本国法=夫婦それぞれの国の法律)
外国人の夫や妻が日本に帰化している場合は日本の法律が適用されます。
2.離婚時の夫婦の常居所が同一であれば、その常居所地の法律
日本に住民票がある場合には、日本が常居所(長期間にわたって居住し、生活の基盤となっている所)と認められ、日本の法律が適用されます。ただし、外国に5年以上継続して滞在しているときは、その国が常居所と認定され、その国の法律が適用されます。
3.夫婦に最も密接な関係のある地の法律
夫婦の一方が日本に常居所のある日本人の場合は、日本の法律が適用されます。
① 相手の住所が日本にある場合

離婚をお考えの方が日本人でも外国人でも、相手の住所が日本にあれば、原則として、日本の家庭裁判所で手続を進めることができます。

したがって、例えば、相手の住所地が福岡市の場合、福岡家庭裁判所で、相手の住所地が東京都の場合は、東京の家庭裁判所で手続をすすめることが可能です。


② 相手が外国にいる場合

この場合は、原則として、相手の国に国際裁判管轄権が認められます。

もっとも、以下の場合には、例外的に、日本の家庭裁判所に管轄が認められます。

・相手から遺棄された場合
・相手が行方不明の場合
・その他これに準ずる場合

実際の裁判例では、「遺棄」や「行方不明」だけだなく、原告救済の必要性が高いような場合には「その他これに準ずる場合」に該当するとしています。

世界にはさまざまな習慣の国があります。

日本では、離婚して、その後「再婚」するという話は沢山耳にしますが、国によっては、離婚することを禁止しているというような国もあります。

こういった場合、日本では離婚が成立しても、この「離婚禁止の国」の出身である相手は、本国に戻って、良い相手に巡り会ったとしても再婚できないというような問題も発生しています。ですが、逆に、日本人が海外で生活をしていて結婚。その後、離婚する事になった場合、居住地区では離婚が成立していなくても、日本で離婚届が受理されていれば、再婚ができる事になります。

このように、国際的な結婚には、国が違うだけでなく、法律も違うという複雑な問題が関係してくると言うことを最初にしっかりと頭に入れておくことが大切です。

日本での離婚の効果が外国にも及ぶのか、反対に外国での離婚判決の結果は日本でも効力があるのか国際結婚が日本国内と外国での手続きである以上、国際離婚の場合も日本国内での離婚手続きだけでは完了しない場合があります。

また、日本で認められている協議離婚が外国では認められないことが多く、日本で協議離婚をしても、外国では依然として「両者は結婚しているもの」として扱われる、という難しい問題がしばしば生じたり、日本での裁判結果を相手方の国でも有効にする手続きを別途とる必要があるなど、手続きは複雑になります。そしてこれは国によって異なります。

日本人が海外で暮らして離婚する場合に問題になる事

日本で外国人の方と結婚して暮らしている場合には、それほど大きな問題になったという話は聞いた事がありませんが、海外で暮らしている場合には、問題になる事があります。それは「子どもの出国」に関してです。

国際結婚をした日本人女性が外国で生活をしていて、現地で離婚裁判をしたという場合に、親権を取るという方法はあります。
しかし、子どもが日本に里帰りすることができないと言うことが多くなっています。

海外で裁判を行う際に、外国人である日本人は不利になることが多くなるのです。

このように、国際離婚での問題を事前に防ぐためには、「婚前契約」ではありませんが、結婚する前から相手とよく話し合いをし、「決まり事」を作っておくことが大切なのです。

この記事を作成したキュレーター

渡辺 佳枝

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